はなちゃんくらぶ 朝一 医療・福祉・介護 ニュース

全国紙5紙を中心に、全国の地方紙に掲載された 医療・福祉・介護に関する専門の最新情報を、各テーマごとに集積をすることにより、現場関係者を含めて、幅広く活用して頂けるページを構築したいと考えております。運営:NPO法人花しょうぶ 

たこつぼ心筋症 震災などストレス原因 読売新聞 医療と介護 医療 最新医療 無断転載禁止

たこつぼ心筋症 震災などストレス原因 新潟県に住むA子さん(72)は、2004年10月23日の新潟県中越地震の発生後、余震におびえる中、胸の痛みや息切れが続くようになった。地震から4日後、近所の開業医を受診したところ、心筋梗塞(こうそく)が疑われ、循環器科の専門医がいる病院に入院した。精密検査の結果、心臓が収縮異常を起こす「たこつぼ心筋症」と診断された。A子さんは約3週間、薬物療法に加え、医師の指示で安静にしていたところ、症状は消えて無事退院することができた。(科学部 藤田勝) 読売新聞 医療と介護 医療 最新医療 無断転載禁止 
 たこつぼ心筋症は、心臓が収縮して全身に血液を送り出す際、左心室の下部が収縮せず、上部だけが過剰に収縮する病気。心筋梗塞のような激しさはないが、胸の痛みや圧迫感、息苦しさを伴うほか、血流不足のために全身がだるくなる。

 広島県にある千代田中央病院長の佐藤光さんが1983年に、当時勤務していた広島市民病院で心筋梗塞が疑われた女性患者の心臓を調べると、左心室の収縮異常があった。左心室がたこつぼのような形状になることから、この病名を付けた。

 心筋梗塞は、心臓に栄養を送る冠動脈が詰まり、心臓の筋肉が壊死(えし)することで発症するが、たこつぼ心筋症では冠動脈の異常は全く見られない。心筋梗塞が男性に多いのに対し、たこつぼ心筋症は、高齢女性に多いのも特徴だ。

 発症の仕組みは分かっていないが、ストレスの関与が強く疑われている。患者のほとんどが、肉親の死や隣人との口論などの精神的ストレス、手術や交通事故の外傷などの肉体的ストレスといった、さまざまなストレスを受けた後に発症している。

 地震や水害など自然災害との関係も注目されている。新潟大医学部教授(循環器)の相沢義房さんらが、中越地震の被災地にある8病院を調べたところ、発生直後の3週間で、この病気の患者が25人入院。地震前の4週間は、1人だった。今年7月の新潟県中越沖地震でも、発生後1週間で3人の患者が出ている。

 たこつぼ心筋症は、症状だけで診断するのが難しい。心電図検査で心筋梗塞とは異なる異常波形を確認した上で、心臓をレントゲン撮影する「心臓カテーテル検査」を行い、たこつぼ状の収縮異常が見つかれば、診断が確定する。

 患者数ははっきりしないが、佐藤さんによると、1000人に心臓カテーテル検査を行うと、たこつぼ心筋症の患者が1〜2人見つかるという。

突然死の原因の可能性
 治療は、循環器の専門医がいる病院に入院して安静を保つことが基本だ。心不全や不整脈などの症状があれば、利尿剤や抗不整脈剤などの薬を使う対症療法を行う。通常は1か月程度で心臓の収縮異常が改善し、退院できる。

 相沢さんによると、たこつぼ心筋症が直接の原因で死亡した例は、国内ではまだ報告されていない。しかし、収縮異常が激しければ、急激な血流の減少によって死亡に至ることも十分考えられ、決して軽視はできない。自然災害時のショック死や原因不明の突然死とされた例の中には、本当はこの病気が亡くなった原因ではないかと疑われている例もあるという。

 相沢さんは「たこつぼ心筋症は一般に知られていない病気だ。胸の圧迫感や息苦しさを感じたら、できるだけ早く循環器の専門医を受診してほしい。予防は、ストレスをためずに日常生活を送ることが最も重要だ」と話している。