はなちゃんくらぶ 朝一 医療・福祉・介護 ニュース

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歯科医 つれづれ記 (3)「ハミガキ王子」三つの極意 読売新聞 医療と介護 医療 からだエッセイ 無断転載禁止 

歯科医 つれづれ記 (3)「ハミガキ王子」三つの極意 昨夏の甲子園で優勝し、今春、早稲田大学に移ってからは、陰り気味だった大学野球の人気を一気に回復させてしまった「ハンカチ王子」。今年の男子プロゴルフツアーを15歳で制し、さわやかさで売った「ハニカミ王子」、とかく世間はヒーローを待ち望んでいるようだ。
 そうであるならば私たちも負けてはいられない。息さわやかな、多くの「ハミガキ王子」を作り出さなくては。 読売新聞 医療と介護 医療 からだエッセイ 無断転載禁止 

 ただ、ハミガキ王子になるにはいささか工夫がいる。厚生労働省が行った歯科疾患実態調査(2005年)によれば、1日2回以上磨く人が既に70%を超えていることが報告されている。しかし、歯磨きにどれくらい時間をかけているかについては触れられていない。私が患者さんに聞いたところでは1〜2分、長くて3分である。

 歯は28本、歯と歯茎の境目、隣の歯との間に隠れた細菌の固まり(プラークと呼ぶ)をすべて除去しようとすると、残念ながら2〜3分では十分ではない、少なくとも10分は必要だと私は考えている。しかし、10分というのはいかにも長いので、それを克服するための私の極意を特別に伝えよう。

 【極意その1】まずは歯ブラシには何もつけない。つけないでブラシだけで掃除をするのである。歯磨き剤をつければすぐに泡だらけになり、うがいをしたくなる。うがいをすれば歯磨きが終わりで、これだと3分持てば良い方である。

 【極意その2】歯磨きを洗面所で行わない。大体、洗面所というのは、普通の住居ではあまり恵まれた場所にあるとは言えない。昔ほど悪くないとは言うものの、冷暖房が完備して、南向きの明るい、快適な空間というのは少ない。でも、歯磨き剤をつけなければ、泡だらけにならないのだから、歯磨きを洗面所で行う必要がない。そこで、自分の好きな、快適な空間でするのがよい。ある人は居間で、ある人はバスルームで、そして好きならばトイレでなんてことも可能である。

 【極意その3】それでも歯磨きだけで10分は、さすがに私でも疲れてしまう。そこで「ながら磨き」である。つまり、退屈な歯磨きタイムを紛らわせるために、テレビを見ながら、好きな音楽を聴きながら、あるいは明日の仕事の資料に目を通しながら、歯磨きを行うのである。まあ、10分もやっていれば、舌で触ってもほとんどヌルヌル感覚はなくなる。

 そこで、やおら立ち上がって洗面所に行き、いつも通り歯磨き剤を歯ブラシに乗せて、1〜2分、歯磨き剤の有効成分が歯に行き渡るようにすればよい。

 さあ、これであなたも「ハミガキ王子」。明日からは、もう口が臭いだの、おじん臭いなどと言わせない。人前で堂々と振る舞うことも可能です。

 (東京クリニック丸の内オアゾmc歯科医長。次回は14日)

プロフィール
安田 登 やすだ・のぼる
 1969年東京医科歯科大卒。パリ大学留学、第一生命日比谷診療所、東京医科歯科大臨床教授を経て東京クリニック丸の内オアゾmc歯科医長。