【年金問題報告書4】「システムの検証・評価・改善すべて怠る」
◎年金記録の不備データが存在すること等の原因
(年金記録管理システムの調査から)
・昭和32年10月から開始された厚生年金保険についてのパンチ入力による台帳カードおよび40年4月から開始された国民年金についての紙テープを基に入力した磁気テープの事務処理に過程において、入力ミスなどに起因する記録の誤りが存在したと考えられる。サンプル調査の結果と記録管理方式の変遷を照らし合わせると、これらの誤った記録がオンライン上に残ったことが、年金記録の名寄せ・統合に支障をきたす原因となった。 産経新聞 主要ニュース 生活 福祉 無断転載禁止
そもそもコンピューターシステムを用いた業務では、誤りが発生することを前提として、(1)誤りの定量的把握(2)入力方法、チェック体制の検証・評価(3)防止対策の改善−を行うことが重要。だが、社保庁は現在にいたるまで、このような取り組みを行っていない。
・「年金手帳記号番号」中心のシステム設計、データ整備が行われ、氏名、生年月日、性別、住所は軽視されてきた。
・氏名については、表記、読み方が一生の間に変わる者もいるので、氏名情報の長期間の正確な把握、管理には困難が伴うことを認識し、社保庁は対応すべきであった。
・厚生年金保険では、被保険者のカナ氏名の把握を開始したのは昭和54年から、住所の把握を開始したのは平成8年になってから。昭和54年に開発した漢字カナ自動変換辞書システムは、漢字を一定のルールで自動的にカナに変換するもので、カナ氏名収録用には不適切だった。このため、誤った読み方のままでカナ氏名が入力された記録が発生した。
・漢字カナ変換作業にかかるプログラムや関係資料、および昭和59年のオンライン化等の記録管理方式の変更時における不備データに関する調査結果などが社保庁からも開発事業者からも提出されなかった。これらは保存されていないとのことであるが、誠に問題であると言わざるを得ない。
・被保険者および年金受給者の記録を長期にわたり正確に管理するという年金制度の特質を踏まえたシステム設計・運用が行われていない。社保庁は裁定時主義が根底にあったために、オンライン化以降、平成9年1月の基礎年金番号導入までに、誤った記録の訂正・補正を重点的に行うべきだったにもかかわらず、行わなかった。
・年金記録の管理に関するシステムの開発・運用においても、基本的な思想や哲学に一貫性がない。記録管理方式の変更の度に、過去の年金記録の管理に関する情報がまったく引き継がれていない。それが誤りを繰り返すことにつながった。
・死亡者のデータは死亡者本人に問い合わせられないこと、住基ネットがなかったこと、配偶者データが入力されていなかったことなど、その管理・運用に特段の困難があった。たとえば別ファイルで管理することも検討する必要があった。
・コンピューターシステムの開発・運用については、長期間特定の開発業者に依存してきたため、社保庁内部の人材育成が不十分だった。これが、社保庁自らシステムの設計・評価・検証・改善を行う姿勢や意識を持つことができず、システム見直しの遅れにつながった。
東京都三鷹市の社会保険業務センターの記録管理部等は開発事業者の建物の中に入っているが、平成16年度まで明確な賃貸借契約が結ばれていなかった。また、少なくとも厚労省、社保庁の計10人が開発事業者および関連会社に再就職しており、国民の視点からは依存関係の証左とみられよう。
(年金記録にかかる事務処理の実施状況に関する調査から)
・年金記録の転記・入力のチェックには、二重チェックの仕組みは設けられていたが、確実に励行していない実態がみられた。
・データ誤りを許容する意識が、かつては社保庁の職員の間に広くあったとみられる。
(年金相談事例の調査等から)(略)
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- 2007/10/31(水) 21:26:00 |
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