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薬害肝炎:感染者不告知に責任なし 厚労省調査チーム 毎日新聞  ニュースセレクト 政治 無断転載禁止 

薬害肝炎:感染者不告知に責任なし 厚労省調査チーム 血液製剤フィブリノゲンの投与でC型肝炎に感染した418人分のリストが放置されていた問題で、厚生労働省の調査チーム(主査・西川京子副厚労相)は30日、調査報告書を公表した。リストが作成された02年7月当時、感染者を特定して告知しなかったことについて「反省すべきで、批判を重く受け止める」としたものの、関与した職員の責任は「あるとは言い切れない」と否定。リストを含む資料のずさんな管理にかかわった職員だけを週明けに処分する。
 調査チームは弁護士2人を含む14人で構成し、約1カ月、職員、医療関係者、患者ら約50人から聞き取りをした。 毎日新聞  ニュースセレクト 政治 無断転載禁止 

 リスト記載の418人は、その後の製薬会社の調査で既に47人の死亡が確認されており、「早く告知していれば救える命があった」との批判が出ている。これについて、聴取を受けた当時の担当職員全員が「告知についての議論はなかった」と証言し、検討をうかがわせる書類もなかった。

 調査チームは▽医師から感染の事実や感染原因を聞いていない患者がいた▽自覚症状がないまま重篤化する危険がある−−などの点を挙げ「告知は可能で、患者への思いが至らなかった」と対応の不備を認めた。

 しかし▽国に告知の義務はない▽リスト収集は患者の特定が目的ではなかった−−の事情もあったとして、法律上・行政上の責任は否定した。ただ、製薬会社が提出した資料に2人の実名を含む個人情報があり、それが地下倉庫に放置された点は「文書管理の大切さの意識が関係職員に欠落していた」と責任を明確にした。【清水健二】

 ◇本気で「患者の視点」を

 肝炎感染者リストの放置問題に関する厚生労働省の調査チームが1カ月かけて導き出したのは「患者の視点に立った配慮が必要だった」という当たり前の結論だった。舛添要一厚労相は汚染された血液製剤が使われ続けた経緯なども調べると公言していたが、調査チームに範囲を広げる余裕も意欲もなかった。

 調査範囲の狭さ以上に問題なのは、肝心の患者対応に関する部分の追及不足だ。リスト作成の当時、フィブリノゲンによる感染拡大への責任追及の声が高まり、厚労省にとって感染者への告知は、裁判の原告になれる被害者を増やすことを意味していた。調査チームに担当職員は「訴訟対応は考えていなかった」と証言したが、当時の厚労省は明らかに感染実態の把握に消極的だった。

 例えばクリスマシンなど別の血液製剤については、01年に投与医療機関を公表し、厚労省の研究事業として、投与された人を特定して感染率などを調べた。調査チームも、この対応とリスト記載者への対応の違いを「矛盾」と認めるが、リスト問題に関与した職員が01年の研究事業をどう認識していたかは聞き取りしていない。薬害肝炎訴訟の原告側が指摘する「フィブリノゲンの被害を小さく見せようとしていた」との疑いは、調査報告では解消できない。

 過去の配慮不足を反省するとした調査チームだが、会見では、国が裁判で投薬事実を争い続けた原告を含むリスト記載者への謝罪はなかった。報告書にある「患者の視点」を本気で取り入れるなら、厚労省は「責任なし」の結論に安住せず、苦しんでいる目の前の肝炎患者への対応から改めるべきだ。【清水健二】