社説(1):波乱続きの1年 身勝手さがまかり通る 本県は今年2月と秋、「秋田わか杉国体」で歓喜と感動に揺れた。46年ぶりとなった国体を成功に導いたのは、文字通り県民一人一人の努力と情熱があったればこそだ。
初の天皇杯獲得もさることながら、もてなしを通した他県選手団との心温まる交流は、昭和36年の「まごころ国体」の再現と言っていい。県民にとって掛け替えのない財産である。
だが日本の社会全体を見渡せば、この1年は信じられない出来事の連続だった。要するに「何でもあり」を強く印象付けたのである。社会を支えていた倫理観の欠如の露呈であり、その結果として政官民の別なく、人間社会で最も大切な「信頼」が大きく崩れてしまった。
秋田魁新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 社説 無断転載禁止
通底するのは、「自分さえ良ければ」「バレなければ何をやってもいい」といった身勝手な考え方である。こうした風潮は何も今に始まったことではないが、現象として今年、一気に顕在化したところに危険な兆候を感じる。
食品偽装は食の安全を脅かす深刻な問題だ。期限切れ原料を使っていた大手菓子メーカー不二家を皮切りにミートホープ、白い恋人、赤福、船場吉兆、そして本県の比内地鶏と次々に発覚した偽装、改ざんの数々。
消費者をないがしろにして利益優先に走る。そうした身勝手な企業論理がある限り、問題は解決しない。「偽の連鎖」には強い危機感と憤りを覚える。
それ以上に怒り心頭に発したのは年金問題である。約5000万件もの該当者不明の「宙に浮いた」年金記録が表面化したのは、2月のこと。入力ミスなどを放置した社会保険庁のズサンな事務処理をみると、国民の大切な年金を管理するという最低限の使命のかけらもない。
「来年3月までの名寄せを終える」とした自民党の公約を、いとも簡単にほごにする政治家の姿勢はどうしたことか。当初の威勢の良さがどこかへ消えた舛添要一厚生労働相は言うに及ばず、福田康夫首相の「公約違反というほどの大げさなものか」発言には、ただただあきれるほかない。
政治の世界ではこれ以外にも国民不在の身勝手さが際立った。一連の事務所費問題はもとより、安倍晋三前首相の突然の政権投げ出しがその典型だ。
確かに健康問題もあったろう。だが参院選で惨敗しても責任を取らずに続投し、「職を賭す」とした海上自衛隊のインド洋での給油活動継続が行き詰まった経緯を考えれば、臨時国会での代表質問当日の辞意表明は無責任の極みである。
角度を変えてみれば、政治家も有権者も、これほど民意の重みを実感した年もない。参院選での自民惨敗で生じた「ねじれ国会」によって安倍政権は挫折し、引き継いだ福田政権も強行路線を封じられたからである。「ねじれ」解消を狙った大連立構想など、選挙による民意を全く無視した論理だ。
政治が軽くなって浮遊する陰で、国民生活は一部の地方や業種、企業を除いて疲弊する一方である。国も地方も、政治が地に足を着けた本来の姿を取り戻し信頼を回復できるか、来年こそ真価が問われる。
社説(1):波乱続きの1年 身勝手さがまかり通る 秋田魁新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 社説 無断転載禁止
- 2007/12/31(月) 10:59:00 |
- 社会保障制度・社会保障負担に関する情報 |
- トラックバック(-) |
- コメント(-)
