はなちゃんくらぶ 朝一 医療・福祉・介護 ニュース

全国紙5紙を中心に、全国の地方紙に掲載された 医療・福祉・介護に関する専門の最新情報を、各テーマごとに集積をすることにより、現場関係者を含めて、幅広く活用して頂けるページを構築したいと考えております。運営:NPO法人花しょうぶ 

社説(1):07年回顧 偽りは終わりにしたい 信濃毎日新聞 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 社説 無断転載禁止 

社説(1):07年回顧 偽りは終わりにしたい 世の中を生きていくために、昔からいくつもの処世の術が伝えられてきた。〈うそも方便〉もその一つである。
 相手の状況を思いやってうそをつかざるを得ないこともある。そんなケースは〈うそも方便〉のうちだろうが、ことしは、このことわざの良さを台無しにするようなうそや偽りが目立つ年となった。
 本紙の建設標欄「やまびこ」に寄せられる投稿がそんな世相をよく表している。 信濃毎日新聞 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 社説 無断転載禁止 

<つけは必ず回る>

 〈食品偽装多発 疑心暗鬼で食品を選んでいます−消費者 上田市・とん馬、11月2日付〉

 食品会社によるうそは、偽装事件として次々に表面化した。

 始まりは大手菓子メーカーの「不二家」である。消費期限が切れた牛乳を原料としたシュークリームを製造し、出荷していたことなどが発覚した。

 同社は当初、「パートが自分の判断で」と、従業員の責任であるかのような説明をしていた。が、偽装の頻度が多く、会社の体質に起因することを認めざるを得なくなり、社長は辞任に追いこまれた。

 6月には北海道の食肉加工販売会社「ミートホープ」の食肉偽装事件が明らかに。同社の社長は「安いものばかり求める消費者も悪い」と発言した。食に携わる人の言葉かと、消費者に衝撃を与えた。

 夏から秋にかけては、次から次へと不正が明らかになった。

 北海道のお菓子「白い恋人」、三重県のもち菓子「赤福」、秋田県の比内地鶏、大阪の高級料亭「船場吉兆」…。土産品や贈答品としてよく知られ、利用される商品の偽装によって不信は食品業界全体に向けられたと言っていい。

 上田市のとん馬さんのように疑心暗鬼になった人は多い。来年は信頼回復に向け、業界にとっては節目の年になりそうだ。

<政治の言葉が軽い>

 〈偽装列島 政治は大丈夫かな?−国民 長野市・文果笑 6月29日付〉

 大丈夫ではなかった。特に年金問題に対する政治家の場当たり的な発言は目に余るものがあった。

 夏の参院選。当初、政府、与党は年金記録問題の解決に前向きとは言えなかった。

 国会で「宙に浮いた」年金記録5000万件や支給漏れ問題が大きく取り上げられ、国民の不安が高まると、安倍晋三前首相は「最後の一人まで支払う」と言い始めた。選挙戦で連呼したものの自民党は大敗した。

 根拠があっての発言とは思えないものだった。約束を果たすことなく政権を投げ出してしまった。

 年金をめぐってはその後も軽はずみな発言が続く。参院選後の内閣改造で厚生労働相に抜てきされた舛添要一氏は就任時、年金記録問題について「最後の一人、最後の一円まで頑張ってやると公約した」とはっきり言っている。

 12月になって、来年3月までに終えるとしていた「宙に浮いた」年金記録の照合作業が難航し、一部は持ち主の特定が困難な可能性が高いことが判明。舛添厚労相が語った言葉はこうだ。「すべてを解決すると言った覚えはない」。これでは開き直りである。

 福田康夫首相も「公約違反というほど大げさなものか」と語り、非難を浴びた。支持率低下というつけが回っている。

 安心できる年金制度の構築は待ったなしの課題なのに、どこまで真剣に考えているのか疑問が残る。政治まで偽装と風刺される事態を政治家は深刻に受け止めるべきだ。

<官僚も堕落して>

 〈一転 バンカーにはまった−守屋前防衛次官 長野市・珍喜 10月25日付〉

 防衛省では「天皇」とまで呼ばれた守屋武昌前事務次官の防衛商社との癒着は汚職事件に発展した。

 12月18日には丸抱えのゴルフ接待だけでなく、装備品納入をめぐって便宜を図った見返りにわいろの現金を受け取ったとして再逮捕されている。子供の借金返済や生活費のためという極めて私的な目的で要求した疑いが強い。

 逮捕前には「現金をもらったら次官を辞めている」と語り、国会の証人喚問でも便宜は「一切ない」と言い切った守屋容疑者である。しかも、接待を禁止する自衛隊倫理規定をつくった中心人物であり、次官になってからは倫理規定を徹底させる倫理監督官も務めていた。

 立場を無視した公私混同ぶりは言語道断である。ゴルフでバンカーにはまったらフェアウエーなどに出す努力をすればいい。守屋容疑者によって地に落ちた自衛隊の信用を取り戻すのはそんなに簡単ではない。

<信頼に足る社会へ>

 ことしの世相を表す漢字に選ばれたのは「偽」だった。食品偽装が相次いだことが主な理由だ。

 政治や経済などでも見過ごすことができないうそや偽りが多かったことも反映したと思われる。信用や信頼は私たちが暮らしていく上で土台と言うべきものだ。それが揺るがされる事態が次々に起きることに危機感を覚える。言葉の重みを取り戻すことから始めなくてはならない。