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がんのリスク・マネジメント:(3) がんのトレンド 毎日新聞 ライフスタイル 健康 毎日らいふ 無断転載禁止

がんのリスク・マネジメント:(3) がんのトレンド がん全体の年齢調整死亡率は、男女ともに減少傾向にあるものの、がんの部位別に推移を見ると、大きく変化しているのがわかります。男性では、1960年代に最も多かった胃がん死亡率が最近まで一定の減少傾向にある一方、90年代半ばまで増加傾向にあった肺、肝臓、大腸、前立腺がんが近年では横ばいから減少傾向に転じています(図1-1)。 毎日新聞 ライフスタイル 健康 毎日らいふ 無断転載禁止 
 女性では、胃がんが一貫して減少しているのに加えて、子宮、肝臓、直腸のがんの死亡率が80年代まで減少しています。一方で、乳がんが、戦後一貫して増加しているという特徴があります(図1-2)。

 がんの死亡率の動向を規定するのは、罹患率と生存率です。男性の胃がんを例として、年齢調整死亡率と罹患率を対比して比較すると、死亡率と罹患率のいずれも減少傾向にあります(図2-1)。すなわち、死亡率の減少の多くが、罹患率の減少によりもたらされていることになります。

 次に、女性の子宮がんの例では、80年頃までは死亡率と罹患率が並行して減少しています(図2-2)。すなわち、死亡率減少の多くが罹患率の減少によることになります。しかしながら、それ以降は罹患率がそれほど減っていないのに、死亡率は90年代半ばまで減り続けています。これは、検診による早期発見や治療の進歩により子宮頸がんの生存率が上がったことが寄与しているものと推定されます。

 戦後の部位別がんの推移は、子宮がんの例のように、生存率の向上で説明できる部分は多くはなく、いわゆる食をはじめとした生活習慣の欧米化によるものと考えられています。国民栄養調査による戦後の栄養素・食品摂取状況の推移を見ると、動物性脂質やたんぱく質摂取量の推移が、70年代半ばまで増加の一途をたどり、その後、突然に横ばい傾向となっています。戦後増加していたがんの年次推移と約20年のタイムラグで一致しているのが興味深く思われます。

 また、運動に関しては、年次推移を把握できるような良い指標はありませんが、交通機関の発達や産業革命などにより、身体活動度が低下していることが推測されます。がん罹患率・死亡率の年次推移を単一の要因で説明するのは困難ですが、戦後の栄養状態の向上と体重増加、運動不足、さらには、喫煙や飲酒習慣などの複合的な要因によるものと推測されます。このように、がんにもトレンドがあるという事実は、がんが予防可能であることを意味します。

 病気の問題を考える場合には、まず治療が注目されます。ただし、がんのように治療が困難な病気では、いかに予防するかが重要になります。予防と、検診(早期発見・早期治療)と、治療がそれぞれ進むことによって、がん全体の死亡率が減少することが期待されます。効果的な予防法や早期発見の方法が確立すれば、それは新しい治療法の確立と同じように、がんによる死亡を効果的に減らすことができるはずです。