田中耕一さん:高感度の質量分析装置試作機を開発 今秋から実証実験 02年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一・島津製作所フェロー(48)が、同社の田中耕一記念質量分析研究所設立5周年に合わせ、京都市内の本社で会見した。同研究所は従来の数十倍の感度でたんぱく質を分析できる質量分析装置の試作機を開発、今秋から実証実験を始める。田中さんは「事業につながる装置を作るという、具体的なターゲットが見えてきた。まだ自然界には分からないことがたくさんあり、解明に役立つ研究を続けたい」と意欲を示した。 毎日新聞 東京朝刊 ニュースセレクト サイエンス 科学 無断転載禁止
田中さんは、85年にたんぱく質などの分子レベルの物質を壊さず、イオン化して質量を測定する手法を発見し、その功績でノーベル賞を受賞した。この手法を使い「5年で血液1滴から数百種類の病気の有無を診断してもらえるようにしたい」と抱負を語っていた。
受賞後の03年1月に同研究所が設立された。田中さんは、より高性能の質量分析装置の開発に着手した。研究所の活動には田中さんの反省の念も込められている。「受賞当時は自分の発見が、どれくらいインパクトがあるか気づいていなかった。役立つ製品化を目指すという企業の研究者としての努力が十分ではなく、米国の企業に先を越されてしまった」(田中さん)という。
血液1滴で病気を診断するための技術的課題は数多い。病気によって生じる物質は非常に微量で、検出は容易ではない。また、たんぱく質には、分析の過程で壊れやすいものもある。
これらの課題を解決するため、同社はたんぱく質の性質に合わせ柔軟に制御できる分析技術を開発した。同研究所で製品化を進め、今秋から新型分析装置の試作機を国内外の複数の研究機関に使ってもらい、「役立つ装置作り」を目指すという。
共同研究に参加する米国のがん研究機関では、がんになると血液中で増えるとされる物質が、本当にがん診断の指標になるのかどうかを評価する。
田中さんは「人間の体はそんなにシンプルではなかった。診断装置実現には、あと5年はかかりそうだ。だが、世界最先端の装置を国内で作り上げ、技術を世の中で役立たせることが、企業の研究者の役目だ」と話した。【永山悦子】
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- 2008/05/18(日) 05:21:00 |
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